2025.08.28 15:52母の戦争体験 70代半ばの母が13歳の少女だった頃のことです。 母は羽田の近くに住んでいて 飛行機に乗る 兵隊さんの航空食を作る仕事をしていました。 勤労動員です。 昭和19年の東京大空襲のその日、 仕事が休みの母は羽田の海へ アサリを採りに行き、とても疲れて家で眠っていました。 空襲警報が鳴り、 B 29機がたくさん飛んできて、 いつもと様子が違うと判断した母の父は、庭に掘った 防空壕から出るように家族にいい、着られるだけ多く着物を着け 風呂敷 布団を頭から被り、まだ幼い妹を背負い 、一番上 の兄と弟は疎開をしていて不在だったので 、それ以外の家族で多摩川を、20分以上はかけ、主流に向かって歩きました。 手の届くところに 焼夷弾が落ちてきて 燃えた火の粉がパ...
2025.08.15 23:29老いはなぜ忌避される?土曜日の朝の読書会では、『アンチ・アンチエイジングの思想――ボーヴォワール『老い』を読む』(上野千鶴子/みすず書房)を読んでいます。 ボーヴォワールは「老い」の持つネガティブなイメージを取り揃え、「老い」や「老女」といった言葉は、長い伝統によって悪い意味を負わされてきたと言います。その、ネガティブなイメージを持ち続ける「老い」に、人はいつか、誰でも、到達し、遭遇します。老いには抗えない。遠い先の誰かのこととして自分自身が語ってきた他人事だった「老い」に、自分がなる瞬間が来たとき、人は愕然ととするのです。「老い」が自分の身にもやってくることは当たり前なのに、狼狽えてしまう。 ボーヴォワールは「老いるとは、他者になる経験だ」とも言ったそうです。 ...