子供が生まれると、私はますますいそがしくなった。
子供が泣けば、子供のもとに行って、お乳にしろ、オムツ替えにしろ、子供が欲していることを満たしてやった。
そうしたことに対しても、夫は無感心だった。
決して夫が冷ややかだったということではない。それに私がお乳をやったりと子供に関わるさまざまなことに追われている最中に、「俺のメシは」という人ではなかった。夕食の準備が間に合わなければ、不機嫌そうな顔をしながらも、簡単なもので自分だけで済ませた。私の分は用意してはくれなかった。
夫は、ただ単に目の前に起きていることを、自分ごと、夫婦のこと、としてとらえられないだけのようだった。
私のほうはどんどんやらなければならないことが累積していった。
結婚してからは仕事と家事。こどもが生まれてからは家事に加え育児。仕事は、辞めて正解だと思った。
仕事は好きだったけれど、どんどん遠ざかっていった。私の日常は、家庭のなかと近所。
顔をあわせるのは、夫と子供、というものになっていった。
そのころ私は夢遊病患者のようになった。
目の前の人、ことがらにちゃんと対応してはいるものの、それらがどこか夢のなかの出来事のようにも感じていた。
はたからみれば、なんら変化はないようだった。
でも当の私は、自分がどこにいるのか、いつ眠り、いつ起きたのか、わからなかった。
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