社会に出て働き始めたころ、趣味のひとつにしていたウクレレのサークルで知り合った彼と、付き合い始めてから1カ月もたたずに結婚した。
彼は私と、価値観が似ている気がしたのだ。
結婚したとき彼は会社勤めをしていたが、組織で働くことは向かないようだった。
工業高校出身の彼は、機械いじりや、ものづくりが好きだった。
やはり趣味のひとつにしていたサイクリングの延長で、自転車屋を始めた。
わたしは私で、やはりいつかは独立したいと考えていた。でも、何の経験もないままで何をなりわいに独立すればいいか、わからなかった。だから、とりあえず社会に出で、いわゆる事務職OLの道を選んだ。
2ー3年働いたころ、妊娠した。
私は仕事を辞めた。当時は「寿退社」という言葉もあたりまえのように使われていた。
私も、結婚したときに回りがなんとなくそういう雰囲気になった。でも、結婚したからやめるなんて、理由がよくわからなかったし、二人で働いたほうがお金も稼げる。夫も女だから家庭に入れとは言わなかった。家事は女がやるものだ、とも言わなかった。
しかし夫は、自分からすすんで家事に関わる人ではなかった。家事スキルを、なにひとつ備えていなかった。
だからとうぜん、家事スキルがある私が家事全体を担うようになった。
仕事と家事は、それなりに大変だった。少しぐらい部屋が散らかっていても、食事が簡単なものになっても、夫はことさらに文句を言うことはなかったのが救いだと思った。
ただ、妊娠は話が別だった。
妊娠してまもなくひどいつわりが始まった。働きながら、つわりになやまされながら、日に日に大きくなるお腹を抱えながら、家に帰れば食事づくり、掃除、洗濯を、わたしはしなければならなかった。
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