わたしには兄が二人いる。
もし「女と男」ということで、兄たちと私との間に違いがあったとしたら、兄二人にはそれぞれに個室が与えられていたけれど、わたしにはなかったということだ。
なぜか、ということは、当時は考えなかった。
そういうものなんだな、と当たり前に捉えていた。
「兄なんだから」と、なんとなく納得していた。
わたしはたまに、料理を作るのを手伝ったり、洗濯ものを取り込んだりしていた。それは、女の子だからこれぐらいはしなければ、と考えたわけではない。
両親が忙しそうなときには、手伝うのが当たり前だと感じたからだ。
ただ、兄たちが手伝うのは一度もみたことがない。
それどころか、台所に入ろうとすると「男の子は台所に入らなくていい」と、父や母は言った。
兄たちもそれに抵抗を示すことなく、その言葉に素直にしたがった。
もちろん、部屋についても同様で、自分たちだけに個室が与えられていることに対してなんの疑問もわかないようだった。
当たり前のように受け入れ、妹には部屋がないことにも、とくに違和感を覚えていないようだった。
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