ぼくらは平等さ

結婚前、夫は言った。

ぼくらは平等だ。働きたければ働けばいい。男女平等?あえて言う必要はないね。

男が仕事で女は家を守るなんて、いつの話さ!

子どもが生まれた。産休をとった。

産休をとっている間に、なんと会社は社長が急死して解散してしまった。

もどる会社のないなか、子どもの世話はすべて私。

毎日まいにち、子どもと二人。ときどき実家。

仕事しなきゃ!心が叫ぶ。

夫は言った。

「もちろん!応援するよ!」(・・あれ、応援?)

在宅校正者の仕事が見つかった。

家でできる仕事。保育園はなかなか見つからないから、ありがたかった。

昼間は食事のしたく、洗濯、子どもの世話。

夜、テレビを見ながら晩酌をする夫の横でやっと作業時間ができる。

「僕の見てる前で、仕事しないで。疲れて帰ってるんだから」。

(働いていいと言ったのはあなたでは?)

それからしばらくして、私は、子どもを連れて家を出た。

わたしは私の人生を主体的に生きたい、そう考えたから。

とても拙く、幼い考えだったかもしれない。経済的に自立をしないままの、決断と行動だったから。

もどった実家では「出戻りの娘」を持て余した。

両親とはうまくいかなかった。

子どもと二人で家を出た。二人で暮らすために。

一人親家庭はたいへんだった。

それでも、よかった、としばらくして思った。

さらにそれでも、男ってこういうもん。切ってすてればいいのよ。

そう言ってしまうのは簡単だ。

それでは何も進まない。何も変わらない。

泣きながらその場を去る前に、もっとできることがあったのかもしれない。

声をあげること。

目の前の人が耳を傾けようとしなかったら、そのまわりに対してでも声をあげること。

いまならそんな風に思える。

NPO法人YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。「わたし」を主語にして話すことで、あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 NPO法人YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。