『家父長制の起源 男たちはいかにして支配者になったのか』を読む


4月より、土曜日の朝の「フェミ読みで目醒める読書会」ではこちらの本を読みます。 邦訳されて様々な分野から評価されている『家父長制の起源男たちはいかにして支配者になったのか』 (アンジェラ・サイニー 著 道本 美穂 訳)  

なかなか読み応えのある本ですが、目次のタイトルだけ見ても内容が想像しにくく、まだあまり詳細が明かされていないので、英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの本のレビューサイトにあるウェストスコットランド大学博士課程に所属するNicoleta Ciubotariu さんの記事を粗訳してご紹介したいと思います。 Nicoleta Ciubotariuは、家父長制の起源を理解することは、家父長制に異議を唱え、解体したいと考える人たちにとって極めて重要である、と言っています。著書のアンジェラ・サイニーは、社会的偏見や偏見の起源を解明する専門知識で高く評価されてきたと前置きし、その著書を絶賛しています。 

この本でサイニーは、男性は社会の発展とともに男女のパワーバランスが不安定化すると、それを維持するためにパワーを再強化し、再構築する方法を見出し続けてきたといいます。本書には、(複数の)家父長制のルーツと、それが現代も継続的な影響力をもつ理由を明らかにするための、数千年にわたる歴史と多くの社会の探求が詰め込まれています。 探求により、「家父長制は生物学に根ざしているため避けられない」などの誤解を解こうという試みです。 

 女性の抑圧が過去の農耕社会で現れ始めたのは、男女の自然的な違いによるものであって、それによって一方のグループは服従に、もう一方は支配に追いやられたという考え方があります。それに対してサイニーは、新石器時代とチャルコ石器時代のアナトリア南部、カタルホユクでの発見をもとに、農業革命は紀元前1万年に始まったのに、カタルホユクの共同体は紀元前7400年にはまだ男女差別のない社会であったといいます。 また、紀元前2100年のメソポタミアでは、国家が何百年もかけて発展するにつれて、女性の生活と権利がジェンダー規範と法律によって制約されるようになったことを示して、出現した国家や帝国が、その安定と成長のために市民を守り戦うことを求められたことが背景にあると分析します。 つまり、初期の国家や帝国が人口を拡大し、自国を防衛するための軍隊を維持しようとしたのと同時期に、記録上の女性の抑圧を見ることができるというのです。エリート(男性)は、若い女性にできるだけ多くの子どもを産んでもらい、彼女たちが育てた若い男性に進んで戦士になってもらう必要があったのです。

ジェンダー不平等は、逃れられない生物学に由来するというよりも、他者を支配しようとする権力者の物語から始まったと考えることができそうですね。

とてもおもしろいので、続きはまたご紹介します! 

NPO法人YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。「わたし」を主語にして話すことで、あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 NPO法人YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。

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