悔いか意地か
「バリバリのキャリアウーマン」として文字通りバリバリ働いてきた、60代の女性。
分譲マンションを購入してあり、シングルシニアライフを満喫していた。
マンションでは、管理組合の在り方について疑問が生じると、総会では迷わずアグレッシブに発言。
なににつけ、正義感強く、思うところをまっすぐに進んでいく女性だった。
ほぼフリーランスに近い働き方でがんばり、貯金にも努めてきた。2000万円弱貯まった。
そろそろ仕事のスピードをゆるめ自分なりの時間を楽しめる。
貯金はなにに使おうか🎵と心にも余裕が出てきた矢先。
病がみつかった。
長期療養が必要になった。
幸いにも生命保険、高額療養費制度を活用し、入院・治療費でこまることはなかった。
一方で、せっかく貯めてきたお金を使うすべがなくなってしまった。
早く健康に。旅行も楽しみたい。すきなオペラも満喫したい。
兄弟姉妹はおらず、両親もすでに他界した。
自分だけのために使えるお金だった。
しかし、病は進行し、緩和ケアを受けるための施設に移送されることに。
それでもまだ希望は捨てていない。
生きる意欲はある。
なんなら医者に、文句の一つもいってハッパをかけてやろう。
気持ちは焦るが、体がいうことをきかない。
最期に向かい、時計の針はすこしずつ容赦なくすすんでいく。
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