韓国のフェミニズム・発信のカタチ(前編)

“タルリ・ボム”を運営したリュ・スヨンさんとジュ・スンリさんのインタビュー前編


韓国の寒さが冗談ではないことを全身で感じた2月中旬。ソウル大入口駅から約10分歩いたところにある“タルリ、ボム”を訪れた。

突然、手紙を持ってインタビューをしたいという無理なお願いをした私を受け入れ、インタビューに応じてくださったリュ・スヨンさん、そしてジュ・スンリさん。

どんなきっかけでこの“タルリ・ボム”、そして女性の声を記録する出版社“Herstory”を始め、ここまでどのように歩いてきたのか。1つ1つ細かくお聞きした。

まずはお二人の活動を以下に紹介する。

「タルリ・ボム」

「タルリ・ボム」は「今まで記録されてこなかった女性の歴史を発掘し再度発信する」という目的で女性についての一般図書から個人出版の本を選定し紹介しているキュレーション本屋。残念ながら、2021年6月に閉店した。

「ハーストリー」

”Herstory”女性たちの物語を記録するオーラルヒストリーの方法で記録する出版社。 現在 話、遠くて近い」(이야기, 멀고도가까운)「女性、青年、政治」(여성 청년 정치)を始めとして計4冊出版した。

このふたつの活動をどのように導いてきたのか、インタビューを始めた。

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まず、インタビューを応じてくださり本当にありがとうございます。

まずフェミニズム専門書店ということで、おそらく今まで何度も受けてきた質問だと思うのですが2人がフェミニズムに最初関心を持ったきっかけのようなものはなんですか?

R: 特定のきっかけがあったわけではありませんが 、ただとても自然にそうなったと思います。私のこの質問を受けて考えてみたのですが(一つの)きっかけのようなものは、、、

それでは、自分がフェミニストだと確信を持ったのはいつぐらい??

R: 確信というのもわからないのですが、フェミニズムを知っていく中で自然にフェミニストだと思うようになったのだと思います。それを当然のように受け入れて共感する友達もいたため、その友達たちと、「ねえこれ本当にムカつかない?」「ありえなくない?」とこんな話をしていたら自然と、自分がフェミニストだと考えるというよりかは、

こういうことないですか?男性の友達が「フェミニストではないんだけれども」と言うんですよ。そしてそれに対してそれを聞いていた私や他の女性の友だちたちは怒って「それどういう意味なわけ?あなたがどうして「フェミニストではないんだけど」という言葉をいうのか考えてみな」という感じで。「あなたがフェミニストになれないの?」というに会話しました。そうしていくうちに自然にそうなりました。そしてその時2016年に江南駅殺人事件 もあったし、多くの人がそうだったように私にとっても大きな一つの分岐点でもありましたし、発言や、ツイッター等での動きなどがとても影響を受けたと思います。そしてそのときも私が大学で歴史を勉強していました。そのとき女性たちの歴史に対して初めて関心を持って…なのでどれが最初なのか実はよくわかっていません。そのため私達家族の歴史や個人たちの歴史やまたは、女性たちの個人の歴史、祖母の物語を聞いてみたいと思い、それで本を作ったりもしました。

S:私もこれというのは特にないです。自然に私達がずっと、長く恋人関係なので(笑)自然と影響を受けたのも大きかったと思います。確実にこの2016年の事件のときも影響を多く受けたし、また、

R:現場に行ったりもしたし。

S:本を勧められて読んでみてということもあったし、なのでそのとき初めて読んだ本が上野千鶴子の“女ぎらい”(韓国語の題“"여성혐오를 혐오한다")という本で

その本をまず最初に読んだ本だったと思いますし、それを読みながら改めて感じたのだとおもいます。そういうことが続いてここで一緒に「ハーストリー」をしてみない?と提案を受けたのはその時でした。当時資金援助を受けることのできる、そういう事業があって、そのために人が必要であり、今までにない場所だからということで。そういう作業をしながら関心を持ち自然にそのようなことが“タルリ、ボム”にも続いているのだと思います。契機というものよりは継続して瞬間瞬間が集まって、今になっているのではないかというと思います。

 私も同じような経験をしてきているような気がします。その下にあった自分の問題意識、「あ、これはなんかおかしくないか」というような、そのような感覚を覚えた時期など覚えていますか?初めてに限定しなくても、たしかに記憶にあるもの。

R:いくつか、エピソードというには貧弱かもしれないですが、そういう瞬間はあるにはあります。例を上げると、一つはその当時“チョソク(조석)” というとても有名な漫画があって、それがとてもおもしろくて 私も読んでました。なんか”日常漫画“に近いのですが、その作者がフェミニストという単語をとても変なニュアンスで使ったんです。それを見ながら”フェミニストという言葉は男性たちにそのように受け入れられているのだな“と。周りの人達のなかでこれを理解できる人とそうでない人に分かれるんだと、それが契機でもあります。それと私の友達、とても仲良くしていた男友達と、その時もこういうことで話をしたときにとても違うなと感じたりもしました。私達二人は大学の同期なので2人とも親しくしていた友だちがいて、 その友達が突然風俗の話が出てきたんですよ。だけどこれが会話にならないを超えて、私達の間に本当に壁が一つあるということを感じたし、そういう面でも根本的に考えが違えば一緒にいることが出来ないという思った瞬間だったし似たようなことが何個かありながら、周辺の男友達のことが、自分の中で引っかかるきっかけになりました。周りの男性たちとそういう話題で話をするときに初めて「あ、この子と私は世界自体が違うのだな」というそう思ったことはあったりはしましたね。その前にはただ親しく過ごしていたのですが、それがもう出来なくなったときがあったと思います。

聞いていると私も同じような経験を、、、例えば“82年生まれキム・ジヨン”を読んだのかという話をしたら、その友達が申し訳無さそうな態度を取ったんですよ。私は「ごめんなさい」なんて言葉は聞きたくないのに、でももしかして「82年生まれキム・ジヨン」のような物語は、男性として生まれたらどうしても経験しにくいことも多いと思います。

この質問をするのには少しためらいもあるのですが、男性としてフェミニズムして意識していることなどはありますか?

S: 友達と話が会わない部分がもちろん全然合わない友達は付き合うのが難しいでしょう。変わる可能性もないでしょうし、基本的な前提が違います。とにかくそのような少数者性という認識自体がない友だちに対してそれを説明する方法すらないと思います。私がどれだけ本を推薦しても、その本をよんで自分の考えで、アイロニーに受け取る、そういう友達とは付き合うのは難しいと思います。

実際私もどのようにフェミニズムに対して考え、感じるかに対して悩んでいます。なぜなら、私も男性でありその次に私も社会的権力を持っている人なので、権力者のように認識すること自体が一番やらなければいけないと思います。その過程があってこそ私も認識することができるのだと本当に思います。まずは自分自身を省みることから始めることが一番重要で、それが前提でなければならないではないか?という考えもあります。

R:それにたいして、少しスンリがちょっと前にも話した“男性フェミニストの役割”こういうことに対しておっしゃった質問に対して、一般の男性がしなければ行けないことですよね。“男性のフェミニスト”というよりかは。

S: そうです。それでも男性フェミニストがしなければいけないことはとにかく自分の経験を話して既存の男性性が間違っていることを証明する作業だと思います。私もそうですし、おそらく多くの方たちも自身の考えを振り返ることが最初だと思います。そして何より発言権自体が違うじゃないですか。男性が社会で持っている発言の力自体が違い、この発言権をどのように使用するかに対しての悩みもしなければいけないことでもあり、その悩みを持ちながら発言もしていく作業が必要だと思います。その代わり、継続して男性性を持っている人たちにたいしてずっと働きかける必要があると思います。あなたが持っている男性性は“虚構”だということを言っていく作業が必要だと思います。

・・・後編へ続く

NPO法人YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。「わたし」を主語にして話すことで、あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 NPO法人YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。