単身赴任

パートナーと子ども一人。
武蔵野線沿線のとある駅の近くに住んでいた。

パートナーは「夢を叶える準備」として、牧場勤めをすることになった。
収入は一家の「大黒柱」のそれからは程遠い。

それなら!

と、わたしは東京で仕事をして一家の大黒柱になることにした。

パートナー子どもと二人で牧場暮らし、私は単身赴任して東京暮らし。

1週間に一度、わたしは牧場に、家族のもとに行った。

行くたびに、パートナーの表情は曇り険しくなっていった。

あるとき、アルコールが入った勢もあったのか、
「偉そうに。キャリアウーマンのつもりか」
と、パートナーはつぶやいた。

二人の収入や「私たちファミリー」の家計について話が及んだとき。
当然のことのように残業をこなし、対価も得ていた私の収入はパートナーのそれを上回っていた。

女のくせに男よりも稼ぎやがって、それで偉くなったつもりか。

田舎ぐらし。
素朴で親切、心温かい人たちからのいろいろな噂や忠告を耳にしていたパートナー。
言葉の裏には、どうやらそんな気持ちがあったらしい。

そうなのか。
そうか。
あなたも…?

私は謝った。。。

今思えばフェミニズム、という視点からとらえたら違和感が大きくなる。
なによりも、私が極めて自然に申し訳ない、という気持ちになったこと。
私自身が、男、女の、ステレオタイプな役割にとらえられていたこと。

今の私なら、どうするのだろう。

NPO法人YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。「わたし」を主語にして話すことで、あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 NPO法人YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。