0.75に落ち込んだ韓国の出生率。2025年2月の記事にこうあります。
韓国の出生率0.75 上昇は9年ぶりも 依然として世界最低水準 2025年2月26日
このままだと、これまで増え続けていた人口が2022年の5184万人をピークとして下げ続け、2040年には5006万人、それ以降は5000万人を割ることが予想されています。1960年に2500万程度だった人口が急激に増えたのには理由がありました。男の子が欲しくて、男の子が生まれるまで何人でも産んだ時代があったのです。その頃は小学校の1クラスに児童が70人いることもあり、1980年代には、政府が「男女を区別せず、1人だけ産んで元気に育てよう!」との掛け声までかけたほどでした。それが、現在は、産めよ増やせよの掛け声に誰も答えない時代になったのです。 出生率が上がらない背景には若者の結婚離れがあるといいます。理由のひとつは、まずは若者が生活していけない経済状態にあるといいます。失業率が6.4パーセントと非常に高く、就業できたとしても大企業とそれ以外の会社の給与格差が大きすぎるのです。また、結婚に対する意識の変化も大きい理由です。結婚はすべきだ、と思っている若者は1993年の73.5パーセントに対し2022年は50.1パーセントに減っています。女性に限ると44.3パーセントと半分を切ります。(韓国統計庁社会意識調査結果より) もうひとつは、古くから変わらない男女差別の残存です。今も就業率の男女差は大きく、男性75.2対女性57.7%で、企業の男女賃金格差は31%だとOECDのレポートは伝えています。
もちろん出生率を上げるための幾つかの政策はあります。妊娠や出産時には国から祝い金が出されます。たとえば、妊娠一回につき10万ウォン、出産ひとりにつき10万ウォンなど。ただ、それが育児支援に留まることこそが、女性の未婚の理由にもなっているともいわれます。
実際、先の記事にもあるように、韓国の消滅危険都市地図を見ると、多くの地方都市が危険を示す赤に塗られています。経済活動の盛んに見える沿岸部にも危険都市がいくつか。国の人口は確実に減ってきているのです。もちろん、人口構成も変化を続け、65歳以上の人口は年々減少し、5歳から64歳の生産人口を超える日も近いと言われます。では、誰が国を支えることになるのでしょう。 その解消のために、移民政策を立ち上げたとあります。今の住民と同じ権利を得られるようにする法律も作られています。もはや出生率を上げる努力だけでは間に合わないと気づいたということでしょう。であれば、移民で生産人口を埋めるしかない、と。
実は、同様のことが日本でも起きています。出生率は政府予想を超えるスピードで落ち、2024年の出生数は70万人を割りました。人口構成も既に3割が65歳以上に・・。 ただ、排外主義の蔓延る日本に移民政策を作ることはできるでしょうか。多様な人々を受け入れる土壌のない国に未来はあるのか、隣国の例を見て、そんなことを考えさせられます。
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