女性は、国家のための産む機械ではない

 

 参議院議員選挙が始まりました。 注目される参政党の第一声の中で、参政党代表で参議院議員の神谷宗幣氏が発した「子どもを産めるのも若い女性しかいない」発言に批判が殺到しています。政党代表の口から、女性を産む機械とした考え方が発せられるなんて。 前後の文脈はこうです。 

 「子ども全然生まれません。ねえ、だから参政党は、少子化にも、ものすごく力を入れて行きます。ねえ、今まで間違えたんですよ。男女共同参画とか。もちろん、女性の社会進出はいいことです。どんどん働いてもらえば結構。けれども、子どもを産めるのも若い女性しかいないわけですよ。ねえ、これ言うと差別だという人がいますけど、違います。現実です。いいですか。男性や、申し訳ないけど高齢の女性は、子どもは産めない。だから、日本の人口を維持していこうと思ったら、若い女性に、ねえ、子どもを生みたいなとか、子どもを産んだ方が安心して暮らせるなと、いう社会状況を作らないといけないのに、働け働けってやりすぎちゃったわけですよ。やりすぎたんです。だから少しバランスを取って、いや大学や高校を出たら、働いてもいい働くこともいいし、ね。家庭に入って子ども育てるのもいいですよと。その代わり、子育てだけだったら収入がなくなるから、月10万円、子ども 1人当たり月10万円の教育給付金を、参政党は渡したい、というふうに考えています。」 

  聞いていると、「そうだな」という気がしてきて納得してしまう人が多いかもしれない。こういう考え方は、私たちの生活に、浸透してきて、考え方のベースになってしまっているのです。知らないうちに。 例えば、こんな話も。 女性の情報や活動の相互交流の場を提供し、女性のネットワークの構築と、女性のエンパワーメントを目指すWAN(Womens Action Network)に、三浦美和子さんがこんな記事を投稿しています。 

 ◆これは「産めよ増やせよ」ではないのか 

 秋田県議会の議論は「いかに人口減少を食い止めるか」に集中しています。ほかの地方も同じような状況かと思います。  人口減少を食い止めなければならない―という焦りからか、秋田県が高校生向けに「考えよう ふるさと秋田とわたしの未来」というタイトルの副読本を作成しているというのです。 少子化が進む地域の現状と、女性の卵子は年々減少し、「30歳を過ぎると妊娠しにくくなる」とが併記される。それが、「事実だ」と言われればそうでしょう。ただ、それを根拠に、配偶者と第3子までのライフプランを書き込む形式になったワークシートがついているというのです。まるでそうであることが理想だというように。 

 ワークシートの記入例は、 「男子生徒の「配偶者」が25歳の時に彼の故郷である秋田に移住し、29歳で第1子を、31歳で第2子を出産」 こうした結婚の理想像を流布する行政に呆れてしまいます。三浦美和子さんは、最後に、こう書いています。

「副読本は、象徴的な存在でもあると思います。「全体」のために「産ませよう」という政策の象徴。子どもたちの人権を軽視していることの象徴。そして女性やマイノリティが長い時間をかけて積み上げてきた権利は、簡単に奪い返される恐れがあるということの象徴でもあると感じます」 

 そう、こんなひとつひとつのことから、「全体のため」に私たちはそうあるべきだ。とじわじわと、思わされてきた。でも、女性は、国家のための産む機械ではないのです。 女性やマイノリティが長い時間をかけて積み上げてきた権利をひっくり返されないように、こうした参政党のような言葉の作る空気に抗い、「おかしい」、と、言い続けましょう。 

NPO法人YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。「わたし」を主語にして話すことで、あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 NPO法人YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。

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