もやもやZINEから見えてくるニッポンの歪んだ前提

東京ウィメンズプラザフォーラム(2024年11月9日・10日)に参加してきました。

YouTooの企画は「モヤモヤをZINEにして一歩踏み出そう」という講座です。ZINEはmagazineのZINEでで、小さな本のこと。

講座では、まず自身の生きづらさの背景にある社会構造等について考え、その発見をストーリーにして、ZINE(小さな本)を作ります。

モヤ!はて?を言語化してみよう

講座はまずモヤモヤを可視化するためにメモ書きからスタート。

「ここが自分の居場所でないと思うことはありますか。どんな場所にいたいと思いますか。」

「自分で使えるお金はありますか。あったら何をしたいと思いますか?」

「自分が人の役に立っていると思うことはありますか、それはどんな時ですか? 」

などの一つひとつの問いに答えるかたちで1分間でメモ書きしていきます。

1分間というのがポイント。1分間という制約のなかだと考えすぎず、直感的に自身の感情をストレートに表すことができるんです。

  • 参考「1分書くだけ 世界一シンプルな心の整理法」(赤羽雄二著)

自身のなかになんとなくあった「はて」「モヤっ」が少しだけクリアになったところで、ZINEづくりを開始。

モヤモヤを気づきに変え行動に移し自分なりの言葉でスローガンを作る、というイメージで表紙と裏表紙を含めて8ページの小さな本を作りました。

イラストあり、1ページを文字で書き尽くすモヤモヤあり

参加された約10人の皆さんは、それぞれ悩みながら、楽しみながら、世界で一つだけのZINEづくりに向き合います。

出来上がった作品は力作ばかり!

作品をシェアする時間には参加者からさまざまな発信がありました。

  • 「だれかと比べられてあなたは・・・と言われ、モヤモヤ」との発信。
    これには「比較の基準は誰が作った何のためのものなんだろう?」という問いかけが。
  • 「気持ちよく働いていれば『まだ結婚しないの?』と言われほっといてくれという気持ちに。一人飲みを楽しんでいると『かわいいね一緒に飲まない?』と声をかけてくるおぢにイラッ」という仕事をするうえでのモヤ。
    これには「わかる!」という声が。
  • 人の奉仕行動を無視して我が道を行き欲望を満たす行動をとろうとする人にイラ・モヤ・・・という日常生活で抱くモヤ・イラ。

なかにはこんなワクワクな発信も!

「子供の頃から20代のころまではモヤモヤの連続。おんなの子らしく、妻らしく、お母さんでしょ・・・というまわりの言葉にモヤモヤを抱き続けた。やがて闘う意思をもつようになった。夫には『家事全般を賃金換算したらいくらになると思う?私が仕事をして、あなたが家事全般を担ってもいい。それがあなたにはできる?』と問うたり。いまはそれらを全部乗り越え、未来に目を向け行動するようにしている」。

また、食事の場で男性がおごる立場になりがちである状況への意見には「そもそも男女の賃金格差、というものがあるから男性がおごるのもありなのでは」「奢られるのが当然でそれを利用しようとする女性心理がある場合も」「男性におごられる=男性上位、という感じになるから私は嫌」という声があがります。

男性参加者からは、「女性はメイクやファッションなどで多くのお金を使っているだろうからその分、食事代は男性が払おうという気持ちになる」という意見もありました。

わたしたちが暮らす、生きる今とは?

だれもがうなずいたのは「一人ひとりの生き方、考え方は多様。一人ひとりが相手に優しく寛容になればこの社会はもっと生きやすくなる」というもの。

「多様性」という言葉はふんわりと優しく、だれもが否定しないもの。言い換えればもしかしたら、何も言っていないのかもしれない。変化をもたらす「原動力」になるパワーに欠けるのかもしれません。

そう。
わたしたちが生きる社会はまだまだ変化が必要であり、変化の途上にあります。

変化をはばむもものはなにか、比較し優劣や強弱や大小を決める前提となる基準は誰がなんのために作ったのか、を考え続ける必要があるのではないでしょうか。

家父長制、機会不平等、無言の了解のもとの性別役割分業が根強く社会や私たちの意識にはびこるかぎり「はて」「もや」はなくなりません。

だからこそ「はて」「もや」を見なかったことにせず、たんたんとパワフルに発信し続けていきたいです。

NPO法人YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。「わたし」を主語にして話すことで、あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 NPO法人YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。