令和で変化?旧態依然?「ミモザウェイズ」を観て

ジェンダー役割は変わってきた?

家庭で食事を作る人や職場で忙しく働く人のシーンを通して、ジェンダー役割に対する思い込みを問う発信や、夫婦が協力しあって食事づくりをするCMなどで見聞きすることがある。

日本では、昭和の高度経済成長期あたりから、女性たちは長く「専業主婦」であることがあたりまえであり、男性が会社でバリバリ働くのは「一家の大黒柱」として当然であるという価値観が存在したことを考えると大きな変化と言えるかもしれない。

またこんなこともあった。

先日、学生時代の友人たちと会食した。

参加したメンバーは夫婦二組と、女性単独参加2人の6人。単独参加女性の一人は、夫がすでに退職していて自分は働いている。勤務後に、職場の同僚と急に食事をすることになったときは、夫に一報を入れて「今日は夕食いらないよ」って伝える、と言う。

現在夫は、自由な時間を手に入れあれこれアクティブに活動しており食事作りもになっているのだそうだ。

また夫婦二組は、それぞれ妻、夫別々の趣味を持っており、平日の退勤後や休日に互いがそれぞれの関心・興味に従って行動しているのだという。

一方。

「俺が働いているんだからお前は家庭で家事をして子育てするのが当たり前だ」という、家父長社会の黒い権化のような横暴夫が、今のこの時代にいるのも事実だ。

とはいえ。

ジェンダーフリーに近い家庭と、旧態依然とした家庭状況があるなか、日本の状況は、「ショーワ」とは着実に変わってきている。

その変化は、今を生きる私たちがドラスティックに変えたものではない。

明治、大正・・・時代を自立的に生きた女性たちの力が、そうした変化の原動力になっているのだと思う。


大正、昭和を生きた女性たちの発信と運動

それを改めて実感したのが、先日行われた東京ウィメンズプラザフォーラムだ。

なかで「『ミモザウェイズ』を見て語ろう!女性差別撤廃条約」というプログラムに参加した。

 ※ミモザウェイズ 

ミュージカル映像の一部が上映され大正時代の三様の女性たちが登場する。

家庭や内職仕事に従事し教育の機会を十分に与えられなかった女性、裕福な家庭に生まれ行動的し、自立を目指し女性の自立の礎の一つともいえる「青鞜」にも関わった女性、家庭を守り夫を支えるのが妻の役割、と信じる専業主婦の女性。

女性運動の象徴ともいえる雑誌「青鞜」を介した対話では、女性たちの力を信じ、表現の素晴らしさ、自立的な行動の大切さを訴える主張と「女性の役割は、男性を家庭で支えること」と主張する「専業主婦」の対立を描きながら、それぞれが「書くこと、関わること、発信すること、またそうした発信にのめりこみ、あるいは葛藤しながらも3人の女性たち全員が大きな関心を持ち啓蒙されている様子が描かれる。

この作品「ミモザウェイズ」は、日本各地で行った女性たちへの聞き取りをもとに完成したそうだ。大正、昭和のはじめを生きた我らの先輩女性たちは自身の思いと裏腹な社会と、自身が置かれている現実の狭間でさまざまな思いを抱き、思考しながら生活していたのだろうなと想像する。

この日の映像のラストでは大正時代、女性の自立、女性差別がデフォルトだった時代に否を唱えた平塚らいてう、伊藤野枝、市川房枝ら女性運動家たちの名前が読み上げられる。思わずジーンと感動し涙が出そうになる。そして平塚らいてうの「女たちはみな一人ひとり天才である」という太平洋戦争後に発信されたメッセージに勇気をもらう。

●今も続く、続けたい、女性たちのたたかい

鑑賞後は、小グループに分かれてディスカッションが行われた。

女性史をはじめ大正や昭和を生きた市井の人々のありようをまとめた歴史レポートの編纂などに携わる方、大学卒業後に商社に勤務し、男女賃金差別に関する裁判に関わった方、地域でジェンダー平等をテーマとした活動に携わる女性など、パワフルなメンバーばかり!

私(50代)など、まだひよっこ!発信も行動も、まだまだこれからの状態だと強く感じる。

Alliance YouToo

生きづらさを抱える女性たちの思いに「You Too」と寄り添う場です。 そのうえで、もやもやする気持ちを言葉にし、生きづらさの背景を考え、学び、 生きやすい社会を作るために連帯して声をあげていきます。 心理的安全性を確保しつつ「わたし」を主語にして話すことで、 あなたも、社会も、元気になる方法を探せるはず。 Alliance YouTooには、あなたと同じ思いを持ったわたしたちがいます。