ホモソーシャル〜男同士の絆と周縁に置かれる女性の構図
読書会で読む「100分de名著 フェミニズム」も最後の日、ラストの章は、上野千鶴子さんと読むセジウィックの『男同士の絆』でした。
英文学者セジウィックは、イギリス文学の分析を通じて「ホモソーシャル(男同士の絆)」という概念を提唱しました。男性同士は、友情・連帯・競争といった強固な絆で結ばれ、女性は男性の間に欲望の対象として存在する。そして、同じ対象を選択するライバルがいるというルネ・ジラールの「欲望の三角形」のモデルを使い、「性愛の三角形」として説明しました。そして、これは19世紀後半、絵画の世界でも多く描かれているというのです。例えば、エドゥアール・マネの『草上の昼食』など。これは、当時も「現実の裸体の女性」を描いたことが「不道徳」とされサロンで落選、その後、落選展に展示されても同じ理由で批評家に批判されるなどスキャンダルを巻き起こしたとあります。
上野さんはこの三角形をわかりやすく、円の中の男性とその外にいる女性、という図を使って説明しています。男性同士のパワーゲームが終わらない限り、世界は家父長制という崩れない構造を維持し続けるということなのでしょう。上野さんは最後にこう結びます。
今日本では家族が盤石なものだとは思えなくなって来ています。たとえ結婚していてもおよそ三組に一人が離婚する時代です。そうやって家族が脆弱になっていけばいくほど、親密な人間関係に対する期待と依存は高まります。では、親密な人間関係を育むにはどうすればいいか。関係はお金では買えません。ただ時間と経験を配慮とともに共有することによってしか、育まれません。それを男性にも学んでほしいですね。
「男社会でいかに評価されるかというパワーゲームから降りること」が、生きやすい社会をつくることにつながります。フェミニズムは「ホモソーシャルな支配構造を解体する」という方法でそこへ向かうという意義を再確認できる読書となりました。
男性中心社会の構造(読書から図にしたトップの画像):
- 大きな青い円(ホモソーシャル空間)男性集団が形成する閉じた世界を表わす。円の内部では男性Aと男性BがパワーゲームI競争・連帯・承認をめぐってせめぎ合う。
- 女性(円の外部)は二人の男性それぞれから「表面上の恋愛対象」とされる。これは男性同士が互いに「異性愛者である」と証明し合うための媒介にすぎない。ここに女性が中にいて、男性A→女性←男性Bという欲望の三角形が成立する。
三つの概念
- ホモソーシャル:男性同士の絆・仲間意識を強固に保つ構造そのもの
- ホモフォビア:同性愛への嫌悪・恐怖が、男性集団の内部規律として機能し「絆」と「性的欲望」を切り分ける壁になる
- ミソジニー:女性を主体ではなく交換・利用される客体として扱う態度が、この構造を維持する
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